ユグノーの書庫
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第八幕 残心 僕は的に向かって立ち、両足の位置を定め、そこに体を安定させる。 矢を持ち、弓に当て、両腕を上げる。 腕を下ろすと共に、弓を押し、弦を引く。 そして矢を放つ。 矢は空気を切り裂き、的の中心を射抜いた。 中った矢を見据え、姿勢を保つ。 目を閉じると、僕のまぶたには佳織が投影された。 あれから、佳織のことを落ち着いて考えられるほどに、時間が経っていた。 僕は佳織への懺悔の気持ちを抱えて生きていかなければならない。 もちろん、佳織と同じ道をたどることも考えた。それはこの思いを抱えて生きるよりは容易いのかもしれない。 ただ、それは佳織の行動を肯定することになってしまう。ひいては、佳織と似た者同士だった僕自身を肯定するということに他ならない。 僕は、結果的にそうなっただけだとしても、佳織を死に追いやった自分を許すことはできないだろう。 僕は生きなければならない、佳織のために。 いや、結局のところ、自分のためなのかもしれないな。 目を開けると、校舎の隙間から見える夕日がやけに目を刺した。 “Alike Lie” is The
End. |